遠くに入道雲
近くに風鈴の音
それをかき消すくらいのセミの鳴き声
何故か夏だけ家にあるリボンシトロン
それでも田舎は30度を超すなんてことは稀だったかもしれない
昭和40年代の夏
ある日家の前に少し弱っている雄のカブトムシが一匹
当時、カブトムシの飼育は砂糖水を含ませた綿とキュウリの切り身が主力
食べ物をたらふく用意して大きな菓子箱に入れカブトムシが元気になるのを待った
数日たつとカブトムシは元気になった
カブトムシが元気になったら自然に戻してあげよう
そう決めていた
菓子箱の中で天敵も気にせず、たらふく栄養を取ったカブトムシは動きも活発になり、いよいよ旅立ちの日を迎えることとなった
その日、家の前にあるコルタールが塗ってある木の外灯にそっとカブトムシを離した
元気に外灯を登っていくカブトムシ
残りの夏を楽しんでね
そんな思いで空に向かって昇っていくカブトムシを眺めていた
すると
突然外灯をするすると登る1匹のしまネコ
家で飼っているピーコ(雄猫)である
ピーコは外灯を登るやいなや目の前のカブトムシを
「パクリ」
あっと言う間の出来事
元気になったカブトムシは空を突き抜け天に昇ってしまった
子供の頃、夏の日の切ない思い出
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